2人で吸うと、味が濃くなる。

2人で吸うと、味が濃くなる。

文:オリバ(deeep 研究係)


同じフレーバー、同じボウル、同じ炭。
なのに、友だちと回した日のほうが、なんだか濃かった。

気のせいじゃない。
2人で吸うシーシャは、1人で吸うシーシャとは、物理的に別の料理になっている。

1台のシーシャの脇に、2本のマウスピースが並んで置かれた卓上

材料は変わっていない。
変わったのは、リズムだ。

41秒が、24秒になる

2016年、米国とレバノンの研究チーム(Ramôaら)が、22組のペアに協力してもらって実験をした。
同じ人に、1人で吸う回と、2人で1台を回す回を、それぞれ45分。

ホースに付けたセンサーで、一口ごとの長さと間隔を全部記録した。

結果はこう。

  • 一口の長さ:1人でも2人でも、約3.6秒。ほぼ同じ
  • 一口と一口の間隔:1人だと約41秒 → 2人だと約24秒
  • 45分の総パフ数:約78回 → 約110回

一口の吸い方は、人数が変わっても変わらない。
変わるのは、ボウルが休める時間だ。

1人なら、次の一口まで40秒の沈黙がある。
2人だと、自分が吸い終わった直後に、もう相手が吸っている。
ボウルから見れば、吸う人が1人増えたというより、休憩が半分近く削られたのだ。

一口の長さは約3.6秒のまま、一口と一口の間隔が1人の約41秒から2人では約24秒に詰まる。
一口の長さは約3.6秒のまま、一口と一口の間隔が1人の約41秒から2人では約24秒に詰まる。

休憩が短いと、煙は重くなる

では、ボウルの休憩が減ると何が起きるのか。

2003年のShihadehの実験がヒントになる。
機械で吸わせて、一口の間隔だけを30秒から15秒に変えた。

減った葉の量は、3.0gから3.3gへ。ほとんど変わらない。
ところが、減った葉1gあたりに出てきた粒子(いわゆるタール分)は、約1.5倍になった。

同じ量の葉から、より多くの「中身」が煙に移る。
間隔を詰めると、煙が濃く、重くなる。

Ramôaらの実験でも、2人のときの吸い方を機械で再現すると、煙1Lあたりの粒子の量は1人のときより多かった(約7.9mg → 約11.5mg)。
数字の方向は、ちゃんとそろっている。

一口の間隔を30秒から15秒に詰めると、減る葉はほぼ同じでも、葉1gあたりの粒子は約1.5倍になる。
一口の間隔を30秒から15秒に詰めると、減る葉はほぼ同じでも、葉1gあたりの粒子は約1.5倍になる。

ついでに言うと、2人の回では炭も葉も、1人の回よりたくさん減っていた。
葉は約4.9g → 約6.3g。
ボウルが早く進む、ということでもある。

炭は、1個から始めて、あとで半分

じゃあ、炭はどう組むか。

2005年、ShihadehとSalehは、機械で171回吸わせる実験のために、炭の足し方を何通りも試している。
このときの吸うリズムは、17秒間隔。1人の41秒より、2人の24秒にずっと近い。

  • 炭1個だけ:100パフを過ぎたあたりで、煙が急に落ちた
  • 1個で始めて、80パフ目にもう1個:後半に出すぎて、葉が真っ黒に焼けた
  • 1個で始めて、80パフ目に半分足す:最後まで煙の量がいちばん安定した
1個で始めて80パフ目に半分足すと、最後まで煙がいちばん安定する(傾向を描いた模式図)。
1個で始めて80パフ目に半分足すと、最後まで煙がいちばん安定する(傾向を描いた模式図)。

最初から盛らない。途中で、少しだけ足す。
人数が多いテーブルほど、この「あとで半分」が効いてくる。

トングでつまんだ半分の炭を、ボウルの縁に足す手元なしの静物カット

人数で、ボウルを組み替える

1. 2人以上なら、スタートの炭は1人のときと同じでいい。
吸う回数が増えるぶん、熱は勝手に運ばれる。最初から盛ると、前半で焼けやすい。
足りなくなってきたら、半分だけ足す。

2. 1人で濃くしたいなら、炭より間隔。
一口の長さは変えず、間隔を少し詰める。
それだけで、ボウルは2人のときの料理に近づく。炭を足すのは、その後でいい。

3. 3人以上なら、ボウルの寿命を短めに見積もる。
回すほど、葉は早く進む。
後半に味が重くなってきたら、それはボウルが先に歳をとったサインだ。

人数が増えても、スタートの炭は1人のときと同じ。足りなくなったら半分だけ足す。
人数が増えても、スタートの炭は1人のときと同じ。足りなくなったら半分だけ足す。

シーシャは、誰と吸うかで、味が決まる。
比喩じゃなく、物理として。

参考

  • Ramôa C.P. et al. (2016) Group Waterpipe Tobacco Smoking Increases Smoke Toxicant Concentration, Nicotine & Tobacco Research — doi:10.1093/ntr/ntv271 / PMC5896837
  • Shihadeh A. (2003) Investigation of mainstream smoke aerosol of the argileh water pipe, Food and Chemical Toxicology 41: 143–152 — doi:10.1016/S0278-6915(02)00220-X
  • Shihadeh A., Saleh R. (2005) Polycyclic aromatic hydrocarbons, carbon monoxide, "tar", and nicotine in the mainstream smoke aerosol of the narghile water pipe, Food and Chemical Toxicology 43: 655–661 — doi:10.1016/j.fct.2004.12.013
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